English なぜ ムサ?


なぜ書き言葉はこんなにも複雑なのでしょうか?私たちがコミュニケーションを取るのにどのように役立つのでしょうか?


高島屋の地下を歩いていて、知らないフルーツを見つけた場面を想像してみてください。洋ナシに似ていますが、もう少し固いフルーツです。ラッキーなことにそのフルーツの名前が表示されていました。しかし、運の悪いことにその漢字がなんと書いてあるのかわかりません。

この漢字の偏は木偏なので、これが植物の名前だと想像できるかもしれません。でも、もうそれが植物であることが分かっているので、それほど役に立たないでしょう。また、溫が温の旧漢字であることを知っているので、その漢字の読み方がウンオンだと想像できるかもしれません(事実、この漢字の音読みはオツオチウン、訓読みはスギ)。時に漢字は意味と発音を示すものであると言われますが、それはその漢字を認識できる場合に限られます。何の漢字かわからない場合、漢字から伝わる情報はほとんどありません。

この果物の英語名はQuinceです。フランス語ではCoing、スペイン語ではMembrillo、ドイツ語ではQuitte、そして日本語ではポルトガル語のmarmeloを由来とするマルメロと呼ばれています。

この果物を知らない多くのヨーロッパ人は、Quince pasteやquinceゼリーのようにこのフルーツを使った食品をよく知っているため、この果物の名前を認識することができるでしょう。そして今、彼らはこの果物がどんな形をしているかを見ることができるのです!

そしてもちろん、彼らは、今までこの果物を見たことがなくても、この果物の名前をためらうことなく発音することができます。平仮名やカタカナ、そしてローマ字のように、アルファベットが音を表す文字だからです。

では、カタカナでマルメロと書いたらどうでしょうか。これこそ私たちがしていること、そして十分に機能するのです!では、ここで漢字は何の役に立つのでしょうか?


麒麟ランディングページで、キリンビールの広告を見ていただいたと思います。会社名はKirinとローマ字で書かれていました。漢字ではこのように書かれます。

麒麟このビールは、角が一本だけの龍と鹿が半分混ざったような神話上の動物から名づけられています。その動物は漢字でこのように書きます。

麒麟この動物はアフリカの首の長い動物、キリンという名前がつけられており、キリンはこのように漢字で書きます。

違いがわかりますか?私にもわかりません。

漢字は個々の意味の違いを認識するのに役立つと思われていますが、ここでは全ての異なる意味に対し同じ漢字が使われています。事実、ほとんどの漢字に複数の意味があります。漢字の機能が意味を示すものであることから、これらの場合、良い働きをしているとは言えません。ではここで漢字はどのように役立つのでしょうか?;


では、サチコという名前の女性と働いていて、彼女に何かメモを残さないといけない場面を想像してください。メモを書いたら封筒に入れます。そして封筒に彼女の名前を書きます。でもどう書きますか?幸子早智子沙智子佐知子、それとも佐智子?あなたはどれが彼女の名前の正しい書き方かを知りません。

「さちこ」と書けばいいのではないでしょうか?あなたはそうするでしょう。そしてそれで十分なのです。彼女はメモを見つけるでしょうし、全く問題ありません。ではここで漢字はどのように役に立つのでしょうか。

時として漢字は音が似ている言葉を区別するのに役立ちます。しかし、漢字は問題を解決するというより、多くの問題を生じさせることがあります。それぞれの漢字にとても多くの読み方があるため、書き手が意図しているのはどの読み方であるかを理解しなければいけませんが、書き手は何を意図しているかすでにわかっているのです。では、なぜそう書かなかったのでしょうか?

まるでピクショナリーゲームをしているようです。つまり、書き手はひとつの言葉を考え、絵を描きます。そしてあなたは彼が描いた絵から言葉を想像するのです。ゲームを止めて、ただ言葉を書くようにしませんか?


しかし、漢字を使わないとすると、どのように音が似ている言葉を区別するのでしょうか。「こうしょう」という言葉を書きたい場合はどうでしょうか。これらはどのような意味でしょうか。

誰かが「こうしょう」という言葉を声に出して言ったらどうでしょうか?私たちは理解できるでしょうか?もちろんです。それぞれの言葉の音が似ていたとしても、私たちは日本語を話し、その言葉を理解しているからです。

ほとんどの言語に音の似ている言葉があります。英語には there, their, they're や、to, too, two のような音が似ている言葉として良く知られているもの、また、それほど知られていない言葉として praise, prays, preys や meat, meet, mete があります。フランス語では je l'ai fait cent fois と je les fais sans foi は文章全体の音が似ています。中国語には施氏食獅史という有名な話があります。石窟に住む詩人がライオンを食べる話で、なんとこのストーリーの全ての言葉がシと発音されるのです!それでもどうにかコミュニケーションは取れているのです。意味を持つことのない音だけを書く、それで問題はないのです。

もし信じられないならこのちょっとした実験を試してみてください。友達に書かれた文章を一文、二文を声に出して読んでもらってください。もしその友達の言っていることが分かったなら、それは、あなたが私たちには漢字が必要ないということを証明したということです。


また、漢字を学ぶのは簡単ではないのです!3000文字もの常用漢字と人名用漢字のそれぞれの書き順、複数の読み方と意味を学ばなければなりません。これはMusa、ローマ字、そして仮名を学ぶよりも50倍から100倍以上の労力が必要です。中国語の文字を勉強するために時間を費やす代わりにもっと他に学べることがあるのです。


では、仮名だけで書きませんか?仮名文字会という組織は1920年からこのアイディアを広めています。

または私たちはローマ字で書くことができます!ローマ字ならもっと少ない文字数で済みますし、仮名だと形に共通点の無いマミムメモの関係性もより明確になります。事実、このことは大政奉還以降、何度も提案されており、今もまだ議論が続いています。

しかし、今日、もっと良い方法があります。ムサ Musa  と呼ばれる新しいアルファベットです。ムサには様々な良い点があります。まず、必要とされる全ての文字があります。つまり、tsuchishiは二重音字(アルファベット2字をつなぎ合わせることで、それぞれが持ってないない新たな音を表記することができる)を必要とせず、また拗音(「きゃ」や「きょ」など仮名2字で表される音)は仮名一文字で記載されます。また、文字にはパターン性があり、似たような音を表す文字は似ている形をしているという特徴があります。この特徴によって、更に文字を学びやすくなっています。ムサアルファベットは多くの言語間で共有されるため、外国語や名前を読んだり、外国語を学ぶことができます。次のページではムサカナでの日本語の書き方を説明します。

ムサは日本語を書くのに良い方法であるだけでなく、日本語の発音を書く方法として、とても優れたツールです。日本語を書くとき、漢字の読み方を示すために平仮名でフリガナを振ります。しかし平仮名では語彙、ピッチアクセントまたは異音(以下をご確認ください)を離して表記しません。ローマ字でさえピッチアクセントと異音を表記しません!しかし、ムサはこれらを表記します。そのため、外国人だけでなく日本人の学生や、書籍型辞書やオンライン辞書、また、発音について話し合うために日本語の語彙やフレーズの正確な発音を綴る素晴らしい方法なのです。


ただし、似ている音の文章の意味を区別するために私たちはまだ漢字を使います。

私は生きます! 私生
私は行きます! 私行

ムサで日本語を書く際、漢字の読み方を含む全ての音を表記するためにムサカナを使います。そして、必要な場合は、意味を示すためトモ漢字を使うことができます。ムサを今学んでいる人のためにムサカナの上に書かれる小さなフリガナであるトモカナフォントもあります。

   


ムサで日本語を書く場合、今の日本語の書き方よりも注意深く日本語を書きます。文字と文字の間にスペースを書き、また書きたければアクセントを書くこともできます。また話をするときに形成される音の変化である異音(音韻論で、ある音素がいくつかの異なる音声として現れるときに、その個々の互いに異なる音声を指す。)も書きます。例えば、撥音(語中または語尾で1音節をなす鼻音。「ん」「ン」と表記される。)や促音(日本語の音素の一つ。「つまる音」のこと。「っ」と表記される。)も発音のとおりに書かれます。また、言葉の初めにくる「が」はgaと書き、それ以外の場合でngaと発音する場合はそのように書きます。もっともタイピングの方法を変える必要はありません。エンターキーの代わりに文字と文字の間にスペースを入れますが、今と同じようにタイプするだけです。そしてコンポーザーが漢字と異音を書き出します。詳しくは次のページで説明します。

今と同じように、正確な発音について心配せず、意図するモーラを示し綴ればいいのではないでしょうか?意識的かどうかはさておき、「ち」はtiではなく、chiと発音することは誰もが知っていることです。また、助詞の「が」がgaではなくngaと発音されることも知っています。それでは、なぜ私たちはこれらを書き言葉で示すべきなのでしょうか。私たちはこの古い綴り方に慣れているのです。

音のとおりに綴る方法を学ぶまでには少し時間がかかるのは事実です。しかし、たくさんの良い点があります。外国語を学びやすくなるのはもちろん、外国人にとっても日本語を学びやすくなります。それだけでなく、聞こえる音、話している音を書くため、私たちにとっても日本語の書き方を勉強しやすくなるのです。ときどきsishihufu音の区別ができないという人がいますが、もちろん区別できます。そうやって正しい発音を学んだのですから!沢山の外来語にはファイトfaitoのようにfを含む言葉がありますが、h音では発音していません。そしてほとんどのこれらの異音には標準拡張仮名があります。例えばhu ホゥ, tu トゥ, ti ティ, si スィ, zi ズィ, di ディ, du ドゥというように。

これらの異音は子供たちが学ぶべきものです。子供たちはtutsuと発音されることを学ばなければなりません。これは自然なことではありません。また、もちろんあらゆる言語についての真実ですが、子どもたちは音韻論、音素を学ばなければなりません。そして現在の日本語の書き方は、ほとんどの書き言葉がそうであるように、音素を書くものです。しかしムサは実際に話し、聞いている音を書きます。そしてそれはもっと簡単なのです!

それについては次のページで話しましょう。


日本語のためのムサ


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