このページではムサで日本語を書く方法を説明します。ムサで日本語を書くべき理由を知りたい方はこちらのページをご覧ください。
ムサでは通常、仮名フォントで日本語を書きます。つまり、ひとつの子音とひとつの母音のそれぞれの拍がひとつのムサカナとして書かれます。ムサカナは平仮名、カタカナ、またローマ字にも問題なく置き換えることができ、このことには良い点がいくつかあります。ヘボン式のように、ムサカナは通常、特定の仮名を発音する際に生じるいくつかの変化を綴ります。例えばsiはshi、tiはchiと書きます。また、ローマ字と同じく、ムサカナでは語彙と語彙の間にスペースが置かれるため、より認識しやすくなっています。
また、この後に説明しますが、ムサカナは時としてネイティブスピーカーが認識するよりも丁寧に発音を書くことができます。例えば、ムサカナではピッチアクセントを示したり、「好き」や「です」のような無声母音も書くことができます。助詞「が」をng音で書くことも、促音や撥音を発音される音のとおりに書くこともできます。しかし、これらの利点を活かさなくても、ムサカナは今の日本語の仮名のように問題なく理解されます。
ムサカナだけでも日本語を書くことはできますが、トモ漢字を使うことができます。トモ漢字はムサカナの前に書かれる漢字で、その漢字の意味を表すために役に立つ、フリガナまたは送り仮名と組み合わさった組文字のようなものです。つまり、まず初めに漢字を書き、続けてムサカナで語彙全体を書きます。いずれにせよ、現在の日本語で書いた場合でも漢字で書かれた文字を仮名やローマ字で説明しなければならないので、トモ漢字を使うことは大したことではありません。そして、トモ漢字には2つの大きな利点があります。つまり、読み手は書き手が意図する漢字の読み方を理解しようと努力する必要がないこと、そして漢字が必要なければ書く必要もない、ということです。
例えば、「行きます」と書いてみます。漢字は「い」の音を表しており、その他は送り仮名です。トモ漢字ではこのように書きます。
このページでは、まずムサカナについて話すことにして、その後、トモ漢字へと戻ってきましょう。
平仮名とカタカナは音とは何の関係もありません。例えば、「め」は「の」に一筆付け加えただけであり、「あ」と「ぬ」は更にもう一筆加えただけです。しかしこれらの文字の音はそれぞれ全く関係性を持っていません。平仮名の「し」はカタカナの「レ」に似ていますが、これもただの偶然です。
ムサカナはそうではありません!それぞれのムサカナは、二つの音の間に拗音がある場合があることもありますが、ひとつの子音とひとつの母音から構成されます。同じ子音をもつムサカナは同じ子音の形をしており、同じ母音をもつムサカナは同じ母音の形をしてます。しかし、母音と子音の繋がり方がそれぞれ異なるため、個々のムサカナを簡単に識別することができます。
ムサカナを形成する子音と母音は文字と呼ばれます。標準的な日本語を書くのに必要なすべての文字がここにあります。それに加え、これら(黄色にマークされたもの)が正確な発音、異音を書くために使うものです。緑でマークされているものは皆さんに馴染みのあるヘボン式からのリスペリングです。
| i | | e | | a | | o | | u |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| (i) | | 長音 促音 | | 撥音 | | (u) | ||
| m | | n | | ny | | ng | ||
| b | | d | | dz | | dj | | g |
| p | | t | | ts | | ch | | k |
| f | | ç | | s | | sh | | h |
| v | | z | | jh [ʒ] | | gh | ||
| r | | l | ||||||
| y 拗音 | | w | | 語彙の始め | | 語彙の真ん中 |
例えば、sが使われる仮名を見てみましょう。:
ひらがな | さ | し | す | せ | そ | しゃ | しゅ | しょ | っ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
カタカナ | サ | シ | ス | セ | ソ | シャ | シュ | ショ | ッ |
Hepburn | sa | shi | su | se | so | sha | shu | sho | ss |
| | | | | | | | | |
見てのとおり、全て仮名にベーシックなSの形があります。しかし、その位置や母音の形によって認識しやすくなっています。
いくつかの基本的なスペリングのルールがあります:
前出のマーカーされた文字について話しましょう。
Rは、様々な音で発音され、同じ話者が異なる発音をすることがあります。語彙の最初にある場合はほとんどの人が微妙に異なって発音し、英語のlに似た音になります。ムサではと書きます。iやyの前にある場合では、少しryのように聞こえ、ムサではと書きます。正確な音はとても多様ですが、ムサでは発音通りの音を書くことができます。
長母音を書くとき、カタカナの長音符「―」のような機能のあるロングマークと呼ばれる横線を書きます。二重母音を長母音として書くべきか、ふたつの拍で書くべきか、いつも明確であるとは限りません。ouやeiが長母音で書かれたり、そして二重母音が二つの別の母音として書かれたりすることもあるからです。
先生 | sensei | |
---|---|---|
砂糖屋 | satōya | |
里親 | satooya | |
みなさんは母音iと語中のyが口の中で沢山の音を後ろに「引っ張っている」ということを聞くことができると思います。Ti si ziはchi shi jhiになり、もし英語に口蓋音hiとniを表す文字があったなら、私たちはこれらの音も今とは異なった綴りで書いていたでしょう。ムサではiやyの前では5つの子音すべてを別の文字で書きます。
似たようなことがhuとtuで起きます。これらはfuとtsuになります。英語のfと異なり、日本語のfは上下両方の唇で発音されます。
ムサでは二つの母音が連続して書かれることはありません。また、ムサカナは母音だけを書くこともありません。青いaoiという言葉を書く場合、言語学者が母音接続と呼ぶものを綴るBreakと呼ばれる縦線でそれぞれの母音を分離します。語彙の最初にBreakは必要ありませんが、この場合、最初の母音はCatchと呼ばれる声門閉鎖音を書く別の文字と共に書きます。このように書く理由は、私たちが言葉の最初の母音をそのように発音しているからです。
青い | aoi | |
---|
これは通常、du di dy であり、“硬質な” dzu dji djyなります。もっとも、多くの方言では語彙の最初にある場合は“柔らかい”zu jhi jy(硬質な音だとdzu dji djyになる)であり、母音と母音の間にある場合は、”硬質”のdzu dji djy(柔らかい音だとzu jhi jy)であり、違いがあいまいになっています。これらの音を発音する通りに書きましょう。
また、多くの日本人はgを語彙の最初にある場合を除いてngと発音します。ムサではその通りに書きます。助詞「が」は常にngaと書かれます。
しかし複数の方言やケースにおいて、母音と母音の間でgはngではなく、 “弱い”ghと発音される場合があります。これは特に早く話している時にこのように発音されます。また、あるシチュエーションにおいては、bを“弱い”bhと発音することもあります。もしあなたがそのように発音しているなら、あなたにぴったりな文字があります。
ローマ字では撥音の「ん」「ン」は一文字に見えますが、仮名では、他の仮名と同様に、完全な拍として見ることができます。そして、それこそがムサによる綴り方です。母音は常に鼻濁母音ですが、子音はその母音の後の子音に一致します。
促音の「っ」「ッ」は同じように機能があります。つまり完全な拍として書かれますが、ただの一つの文字ではありません。母音は常にロングマークで、子音はその次の子音と一致します。
日本人は普段気づいていませんが、母音のiとuは、無声子音の間や文章の最後の無声子音の後では大抵、無音になります。つまりアクセントがつけられない限り、“囁かれ”るのです。ムサではこの場合、母音の上にアクセントレベルを付けて書きます。
すき | suki | |
---|---|---|
でした | deshita | |
これは現在の日本語の書き方よりも話し言葉に近いスペリングの方法であるため、馴れるまでに少し時間が必要です。しかし子供たちが学ぶのにはより簡単でしょう。聞こえることを書けばいいのですから。
日本語はピッチアクセントのある言語です。つまり、一つの句の拍がピッチにおいて変わります。また、ピッチパターンによって別の意味のある言葉を区別しています。東京の日本語には4つの異なるピッチパターンがあり、他の地域の方言は別のパターンがあります。 ムサは二進法ピッチ分析を採用していますが、アクセントを認識するにはダウンステップマークが必要です。
ほとんどの言葉において、一つの拍の後にはピッチドロップ、またはダウンステップが続きます。つまり、次の拍は明らかに低いピッチになります。
ピッチは音節ではなく拍に属しています。そのため音節の二つ目の拍(長音、撥音、又は促音)が異なる高さになるということもありますが、全く問題はありません。
頭高 | 尾高 | 平板 |
---|---|---|
箸に | 橋に | 端に |
háshini | hashíni | hashiní |
| | |
標準日本語を書くのに必要な仮名のハンディテーブルがあります。
ムサカナを学んだので、次の文章を読んでみませんか?
|
犬も歩けば棒に当たる |
|
石の上にも三年 |
|
笑う門には福来る |
まだ漢字には対応していませんが、ムサカナで日本語を書く際に役に立つ、平仮名、カタカナ、訓令式、ヘボン式、そしてもちろんムサを理解するトランスリテレイター(語変換機)を提供します。
ムサカナで日本語の音の書き方が分かったところで、トモ漢字について話しましょう。前のページでなぜトモ漢字なのか、について話しました。このセクションではその使われ方について話します。
パソコンや携帯で日本語をタイプする際の漢字の入力方法はふたつあります。複数の方法では漢字がどのように見えるか、例えば部首などを書かせるようなものもあります。また、文字をタイプする中国式の方法である蒼頡輸入法や五筆字型入力方法などもありますが、日本(または中国)では広く使われていません。その代わり、私たちはいつも音を入力し、書きたい漢字を提案された利用可能な候補の中から選んでいます。良いソフトウェアあるほどより良い提案がなされ、そして早くタイピングができるようになります。
しかし、いったん探している漢字を見つけたら、キーボードは私たちが入力した音を捨てます。そして私たちは仮名やローマ字でタイピングを続けます。その後も読み手は音を必要とするのに、これではひどすぎます!少ない例外を除き、中国語ではそれぞれの漢字は一つの読み方しかありません。しかし日本語ではほとんどの漢字に少なくともいくつかの読み方があり、沢山の読み方がある漢字もあります。
そこでトモ漢字を使い、漢字の後に普通のサイズで漢字の後にムサカナで書くことでタイプした音を保持するのです。先ほど見た最初の文章をトモ漢字と書くとこのようになります。
ムサで日本語を表示するためのトリックがもう一つあります。トモカナです。トモカナはフリガナのようなもので、(漢字の上ではなく)ムサカナの上に書かれる小さな平仮名で、まだムサカナを学習中の方でも読むことができます。トモ仮名は、Tomokana Musa Ruby フォントをダウンロードするだけです。
先ほどと同じ文章をムサカナでトモ漢字とトモ仮名を使って書いたものがこちらです。
日本語でも英語でも、文章に強調を加えるため、アンダーライン、イタリック、太文字を使います。ムサでもこれらの機能は問題なく使えます。しかし日本語では、アルファベットの大文字の機能に少し似たカタカナで何かを書くというオプションもあります。通常、平仮名か漢字で書かれる内容をカタカナで書くのとまったく同じで、これにより文章を特別なものにします。例えば、外国語の言葉はカタカナで書きます。また、漢字で書くのが億劫に感じる場合は、ラーメンやレモンのように書いたりします。
ムサでは、似たような場合において不規則な文字をハイライトするときに異なるフォントを使います。Gaitsページで読めるように、ムサ文字はそれぞれの言語の音に合致するように異なるgaitで書くことができ、そしてgaitはフォントで決まります。例えば、Yasuhiro Musa Kanaのような仮名gaitフォントは、一つの拍を形成するにはどのように子音と母音が結合するのかを表しているので、日本語にぴったりです。しかし、英単語やレモンのような外来語の場合、ムサが英語のために使うアルファベットgaitで書くことができます。韓国語もアルファベットgaitで書かれますが、中国名はFangzi gaitで書かれるでしょう。この方法では、見た目が良くなるだけでなく、今のそれぞれの言語と同じように見え、(現在、外来語を書く時にしているように)音を拍に分解するよりも良い音をより正確に綴ることができるようになります。外国の言葉や名前がどのように書かれるか、こちらを読んでください。しかし、これら全てのgaitは同じ音を保持しながら同じムサ文字で書かれるため、あなたはこれらを読むことができるのです。
標準日本語を書くのに使われる仮名五十音に加え、外国語の音を表記するのに使われる公式、また半公式のカタカナの組み合わせがあります。このテーブルでそれらを見ることができます。
上記の仮名は日本の他の言語、アイヌ語やいくつかの琉球語、少なくとも沖縄語を書くのにも十分です。しかし、これらの言語は個別の文字で補足される必要がある場合があります。例えば、アイヌ語の最後の子音やオフグライド(off-glide)の場合です。琉球語のuは丸みのある音で、日本語のuとは異なります。そして私たちはの代わりにでそれを書きます。
ムサはピッチと発音のとおりに四つ仮名を綴ることで標準語以外の方言を書くこともできます。ムサを使えばあなたの言語を音のままに書くことができるのです。
© 2002-2024 The Musa Academy | musa@musa.bet | 01feb24 |